前に大きく膨らんだ胸のことを
「鳩胸(はとむね)」
って言いますよね。
ハトという名前が入っているので
トリ関連だけに使う言葉にも見えますが、
ニンゲンやほかの動物たちに使う事もあるので
結構使いドコロがある言葉ではないでしょうか。
そんなトリ以外にも使える「鳩胸」ですが、
その語源はもちろんハトさん。
でも、なんで「ハトの胸」なんだ…?
というワケで、今回は
- 鳩胸ってそもそもナニモノ?
- なんでほかの鳥じゃなくてハトさんなの?
などなど解説していこうと思います(人・∀・)
トリ以外にも使うことがある「鳩胸」ですが、
今回はハトさんの鳩胸、
つまり「元祖・鳩胸」についての解説です。
「鳩胸」ってそもそも何だ?
▲ハトさんはムキムキ?
「鳩胸」とは前に大きく膨らんだ胸のことを言うのですが、
その”大きく膨らんだ胸”の正体は胸の筋肉、
すなわち胸筋。
鍛えに鍛えられた胸の筋肉が
前に出っ張って見えるのです。
なんで胸の筋肉がそんなに大きいの?
空を飛ぶって結構大変。
▲ドタバタ……
いとも簡単に飛んでいるように見える鳥たちも、
大きな翼を上下させて羽ばたくためには
たくさんのエネルギーと強いチカラが必要です。
なので、空を飛ぶ鳥は
翼を動かすための胸の筋肉が大きく発達しています。
強くて大きい胸筋のおかげで、
体を浮かせるほど強く羽ばたいて
空が飛べるワケですね。
もちろん例外もあるよ
アホウドリのように、
あまり羽ばたかずにゆったり飛ぶ鳥は
胸筋があまり発達していないこともあります。
逆に、飛ばない鳥でもペンギンなどは
翼をパタパタ羽ばたかせて飛ぶように泳ぐので
胸筋が力強く発達してたりも。
スズメ胸でもカラス胸でもなく「ハト胸」な理由
……と、このように
空を飛ぶ鳥はほぼ全員胸筋が発達しているハズなのですが、
なんであえての「ハト胸」なんでしょうか。
スズメ胸とかカラス胸とかヒヨドリ胸とか言わないのに
「鳩胸」という言葉があるのは、
ハトが特に胸筋が発達したトリだから。
スゴいぞハトさん!胸筋の割合
もちろん鳥の種類にもよるのですが
フツーの鳥(飛ぶ鳥)は体重の15~25%くらいが胸筋、
一方ハトさんは体重の31~44%くらいが胸筋らしい。
胸の筋肉だけで体重の4割!
体重50kgのニンゲンだったら20kgが胸筋。
こわい。←
鳥って羽毛でモコモコしててわかりづらいですが、
体型自体は結構スマート。
対してハトはぽっちゃりしているというか、
ずんぐりしているというか。
体重の4割が筋肉、と言われて納得の体型ですよね。
ハトが人一倍(鳥一倍)鳩胸な理由
ハトが他のトリより鳩胸な理由には、
天敵であるタカの存在が大きく関わっている
と言われています。
ハトには鋭いクチバシや強いツメ、
そのほか戦うための武器らしい武器がありません。
なんてったって、平和のシンボルですから(キリッ
じゃあ、
天敵であるタカが襲ってきたらどうするか。
逃げる。
▲ウワァびっくりした
ハトは他の鳥と比べても特に大きく力強い胸筋
……つまり鳩胸のお陰で、
もんのすごい勢いで飛び立つことができます。
ハトさんって急に
ドババババァアアン!!
って飛び立つじゃないですか。
超ビックリするじゃないですか。
あの凄まじいばかりのテイクオフは
大きな胸筋から生み出される強い力があってこそ。
飛び立ってからのスピードもなかなかのもので、
身近なハト(ドバト/カワラバト)でも時速30㎞~50㎞と、
そのへんを走ってる車くらいのスピードは余裕で出せます。
実は鳥として特別めちゃくちゃ速い!
……ってワケではないのですが、
ドババババ!の爆速テイクオフと合わせれば
天敵が空から襲ってきても逃げられそうですよね。
スピードを極めしハト
スピード特化型のレース鳩になると
なんと最高で時速157kmという記録もあるとか。
潜在的にものすごい飛行能力がある事がわかりますね。
新幹線の次に速い列車(2023年現在)
「3代目京成スカイライナー」の最高速度が時速160kmらしい。
日本最速の在来線と並んで飛べるハトさんスゲー。
戦えないなら逃げればいいじゃない。
このように、
「鳩胸」とはどんな鳥たちにも負けない
ハトさんならではのデカい胸筋のこと。
武器を持たないハトはデカい胸筋、
すなわち鳩胸のおかげで天敵から逃げ延びてきたワケです。
ずんぐりむっくりでトロそうな姿の
アホっぽい可愛さがチャームポイントのハトさんですが、
実は「鳩胸」というものすごい能力があるスゴいトリなんですよ。
「アホっぽい」は余計でしょ!