キーウィはその不思議な見た目と可愛らしさで人気があるトリ。
トリにあまり詳しくない人でもなんとな~く
「ああ、あのたわしみたいなトリね」
と想像できちゃうくらいの知名度があると思いますが、

たわし……?
もうちょっと詳しい人であれば
キーウィはとにかくバカデカいたまごを産む
という話も聞いたことがあるかもしれませんね。
キーウィさんのたまごの重さは
なんと自分の体重の1/4!
産むの大変そうだなあ……
というかそもそも体から出せるのか……?
なんて心配になっちゃうほどのデカさですが、
なぜキーウィさんは
そんなドデカいたまごを産むのでしょうか?
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とにかくデカい!キーウィのたまご

キーウィさんが具体的にどれくらいデカいたまごを産むのか、
身近な鳥・ニワトリさんと比較して見てみると
そのとんでもないデカさがよーくわかります。
まず、
キーウィの体重は、種類にもよりますがだいたい2kg。
ニワトリ(白色レグホン)の体重もだいたい2kg前後でほぼ同じです。
白色レグホンって?
日本では最もメジャーと言える、
白いたまごを産む白いニワトリ。

私たちが食べているたまごの80%くらいは
白色レグホンのたまごらしいですよ。
私たちがよく知っているたまご(鶏卵)の重さは約60gほど。
一方でキーウィのたまごは、なんと約500g!
親鳥の体重が2kgなので、その1/4もの重さがあるんです。
ニワトリさんのたまごが親鳥の1/33くらいの重さだと考えると、
とんでもない重量級たまごですよね。

ニンゲンに例えるとすれば、
体重50kgのお母さんが12.5kgの赤ちゃんを産むカンジ。
だいたい2歳くらいの子どもを出産……
って考えるとちょっとコワい!
キーウィとニワトリ、
親は同じくらいの重さなのに
たまごの重さはぜーんぜん違うのです。
おなかの中はほぼたまご!
もちろん大きさも、
鶏卵が手の平の中にコロンとおさまるサイズなのに対して
キーウィ卵は手からはみ出さんばかりのデカさです。
なので、
産卵前のキーウィママは
お腹の中がほとんどたまご!と言ってもいいほど。


苦しくないのかなあ……
さらに、これだけデカいので
たまごをあたためる期間(抱卵期間)もかなり長め。
ニワトリさんのたまごは
約21日間あたためるとヒヨコが孵化しますが、
キーウィさんの場合は
なんと約80日もの間あたためてやっとヒナが産まれてくるのです。

ちなみにたまごをあたためるのはオスの仕事だよ。
キーウィがドデカいたまごを産むワケ
このように、
どう考えても無理がある大きさのたまごを産むキーウィさん。
なぜ大きいたまごを産むようになったのか、
現在のところ大きく分けて2つの説があります。
キーウィがドデカいたまごを産むワケ① 元々デカい鳥から進化したから(旧説)

キーウィは元々モアというデカい鳥から進化したとされていました。
モアってどんな鳥?
モアは最大の種で体高3メートル以上・体重250kg以上にもなる、
史上最大の飛べない鳥。
キーウィと同じくニュージーランドに棲んでいましたが、
残念ながら現在は絶滅したのではないかと言われています。

会ってみたかったなあ。

そんなデカい鳥から段々と小型化していったものの、
産むたまごの大きさについては

たまごは別に小さくしなくても困らないかも?
……ということで特に小型化することなく、
体は小さくなったのにたまごはデカいまま進化したのでは?
という説です。
ただし。
DNA分析の研究が進んだ結果、
キーウィはモアよりも
エピオルニスという鳥(コチラもデカい鳥)に近く、
共通の祖先はキーウィよりも小さな鳥だったことがわかりました。

小さい鳥から進化したことがわかっちゃったので、
体は小さくなったのにたまごはデカいまま進化した
のではなく
わざわざ大きいたまごを産むように進化した
というコトになりますね。
なので、
今ではこの「元々デカい鳥から進化したから」説は
ちょっと違うかも?と言われているようです。
キーウィがドデカいたまごを産むワケ② 孵化後のヒナがすぐに自立できるように(新説)
ドデカいたまごには、
そのぶん卵黄嚢(らんおうのう)に
栄養をたーっぷり蓄えることができます。
卵黄嚢ってなに?
たまごの栄養がたっぷり詰まった、いわゆる「黄身」。
ココに蓄えられた栄養は
孵化前のヒナの成長のために使われますが、
孵化直後のヒナもしばらく残った卵黄嚢の栄養を使うので、
産まれてすぐに慌ててゴハンを食べなくても大丈夫なのです。

産まれたての僕たちのための”お弁当”なんだー!
つまり、
たまごがデカければデカいほど
お弁当をたっぷり持たせられる!ということ。
キーウィさんの場合、
そのお弁当で数日〜1週間程度はゴハンを食べなくて平気だそうですよ。

ちなみに僕たちヒヨコのお弁当は
50時間くらいでなくなっちゃうんだよね。
デカいたまごからはデカくて丈夫なヒナが産まれる
あとは単純に、
デカいたまごからはデカいヒナが産まれる
というのも見逃せないメリット。
キーウィのヒナは、
オトナをそのまま小さくしたような
ほぼキーウィとしての完成形で孵化します。

そのため、
キーウィのヒナは孵化してすぐに歩けるようになり、
お弁当(卵黄嚢の栄養)を使い終わってからは
自力でゴハンを探したり
キケンを感じれば自分で隠れ場所に身をひそめることもできるのですね。
デカいたまごから産まれたデカくて丈夫なヒナが、
ドデカいたまごを産む苦労に見合ったメリットのひとつなのです。
地上に天敵がいなかったからこそのメリット
キーウィさんが棲んでいるニュージーランドには、
もともと地上の天敵がいませんでした。

だから飛ぶのやめちゃったんだよねー。
怖いのは空から狙ってくるワシやフクロウくらい。
つまり、
キケンを感じたらヘタに動いて逃げ回るよりも
見つからないように地面でじっと隠れていた方が安全だということ。

▲落ち葉に隠れれば見つからない……かも?
なので、
しばらく安全な場所に隠れていられるくらい
たっぷりお弁当(卵黄嚢)を持った、
産まれてすぐにある程度自立できているヒナが
生き残るのに有利だったんですね。
デカいたまごはキーウィさんの生存戦略だった!
体重の1/4もの重さのたまごを産んじゃうキーウィさん。
結構ムリがありそうな気がしますが、
できるだけ大きくて丈夫なヒナを孵化させて
生き延びられるようにするための工夫だったのです。
ママが苦労してドデカいたまごを産み、
パパが長い間これまた苦労してたまごをあたため、
その結果デカくて丈夫なベビーが産まれてくる……
やっぱりちょっと独特で魅力的な鳥、キーウィでした(/ ・ω・ )/