ねえねえ、赤ちゃんってドコからくるの?
赤ちゃんはね、
コウノトリさんが運んでくるのよ^^
おほほほ…
へぇー……
なんて親子の微笑ましい(?)やりとり。
赤ちゃんがドコから運ばれてくるのかは置いといて、
なんでコウノトリが赤ちゃんを運んでくるの?
実は日本だけでなく、
世界中で赤ちゃんを運び続けているコウノトリさん。
コウノトリさんがそんなお仕事を始めたのには、
いくつか理由があるんですよ。
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え、本当はコウノトリじゃなくて……?
まずは最初に言っておきましょう。
赤ちゃんを運んでくるのは
本当はコウノトリではありません。
「コウノトリが赤ちゃんを運んでくる」というお話は
元々ヨーロッパで生まれたもの。
実はその時に赤ちゃんを運んでいたのは、
コウノトリではなくシュバシコウという鳥だったんです。
コウノトリはこんな鳥
シュバシコウはこんな鳥
シュバシコウは漢字で書くと「朱嘴鸛」。
●朱・・・朱色(赤色)
●嘴・・・クチバシ
●鸛・・・コウノトリ
という名の通り、
嘴が赤いのがチャームポイントです◎
激似。
それもそのはず、
分類としてはどちらもコウノトリ科なんですよね。
コウノトリとシュバシコウは違う種類なんだけど、
ザックリ言えばどっちも一応「コウノトリ」ではあるってコト。
日本ではあまり馴染みのないシュバシコウですが、
ヨーロッパでは
「コウノトリといえばシュバシコウ!」
ってくらい有名な鳥なんだって。
なんでシュバシコウからコウノトリになったの?
実は赤ちゃんを運んでくるのは
コウノトリさんではなくてシュバシコウさんでした、
という説明をしたところで……
シュバシコウさんからコウノトリさんに変わったのは
何故だと思いますか?
普段は何かにつけて
タンチョウさんとトリ違いされるコウノトリさんですが、
今回はシュバシコウとのトリ違い
……というワケではありません。
「コウノトリが赤ちゃんを運んでくる」というお話が
ヨーロッパから日本に入ってきた時に、
ヨーロッパのコウノトリ(シュバシコウ)から、
日本のコウノトリ(コウノトリ)に置き換わった
というだけ。
とっても単純。でも、とっても納得(笑
日本人的にはコウノトリの方が馴染み深いもんね。
いきなりお母さんから
「赤ちゃんはシュバシコウが運んでくるのよ」
なんて言われても「誰?」ってカンジでしょ?
コウノトリ(シュバシコウ)が運送業を始めたキッカケのお話3つ
では、何で数ある鳥たちの中から
コウノトリさんが赤ちゃんを運ぶ役に
任命されたのでしょうか?
ワシが文字通り鷲掴みで赤ちゃんを拾ってくるとか、
大量のスズメがどこからか赤ちゃんを引きずってくるとか、
そんなお話になっていてもおかしくないよね。
▲こんなお話になっていた可能性が無きにしも非ず
ここからは、
何でワシやスズメではなく
コウノトリが赤ちゃんを運ぶことになったのか、
そのキッカケとなったお話を3つご紹介していきます○
「コウノトリが赤ちゃんを運んでくる」というお話は
元々ヨーロッパで生まれたものだ、と
冒頭でサラッとご説明しましたが(覚えてる?)、
この「ヨーロッパで生まれたお話」というのが大事なポイントになります。
①コウノトリの恩返し編
昔々、とある村に暮らす夫婦がいました。
彼らはなかなか子どもが出来ずに悩んでいたそう。
そんなある日、
夫婦が住んでいる家の煙突のテッペンに
シュバシコウという鳥が巣を作って卵を産みました。
その頃はまだ寒く、
普段なら暖炉を使うような時期でした。
でも、暖炉を使えば煙突から煙が出て卵がダメになってしまいます。
心優しい夫婦は、
寒い中でも暖炉を使わず
シュバシコウの子育てを見守ったそうです。
シュバシコウは春(…と言っても、まだまだ寒いうち)に
巣作りや子育てを始めます。
そんな夫婦の温かい心遣いのお陰もあってか、
卵から孵ったシュバシコウのヒナはすくすく成長し、
やがて無事に巣立っていきました。
子育てを立派に終えて、
煙突から飛び去って行くシュバシコウを見送った夫婦。
するとその後、
なんと夫婦は念願の子どもを授かったのです!
きっとシュバシコウが心優しい夫婦への恩返しとして
赤ちゃんを連れてきてくれたのですね。
わあ……なんてイイ話なのかしら……(泣
そんなお話が世界中に広まり、
「コウノトリが赤ちゃんを運んでくる」
と言われるようになりました。
②幸せを運ぶトリ編
シュバシコウは季節によって住む場所を移動する渡り鳥。
春になるとやってきて家の屋根に巣を作り
害虫を食べてくれるシュバシコウは、
ヨーロッパでは昔から
「幸せを運ぶトリ」と言われてきました。
幸せを運ぶトリ
「巣のある家には幸運が訪れる」とも言われ、
シュバシコウが巣を作りやすいように
わざわざ屋根の上に高台を作る家もあるほど。
日本で言えばツバメのような扱いですね!
日本では「ツバメが巣をかけた家は縁起がいい」って
昔から言われてるんだ。
ツバメの巣を見つけたらヒナの巣立ちを見守ってね!
きっとイイコトあるよ。
そんな「幸せを運ぶトリ」であるシュバシコウ。
巣は高台に作りますが、
普段は沼地などの水辺でゴハンを探して暮らしています。
……さて、
ココでちょっと話は変わりますが
かつてヨーロッパで暮らしていたゲルマン民族には
死んだ人の魂は一度天に昇り、 雨と一緒に地上へ降りてきて沼地にたまって転生を待っている
という考え方がありました。
そして、その転生待ちの魂たちは
女神ホレがこれから生まれる赤ちゃんに吹き込む事で
新しい命となって生まれてくるんだそう。
その時に沼地から女神ホレのもとへ魂を運ぶのが、
いつも沼地にいるシュバシコウってワケ。
「幸せを運ぶトリ」がいつも沼地にいるのは、
魂を運ぶ準備をしているのに違いない!って事です。
確かに。
シュバシコウが女神ホレの使いとして
沼地から運んできた魂が、
新しい命として両親のもとへやってくる……
それがいつしか
「シュバシコウ(コウノトリ)が赤ちゃんを運んでくる」
と言われるようになりました。
最初は魂を運んでるだけだったんだけど、
いつの間にか赤ちゃんを運んでることになってた。
③夫婦仲良く子育て編
シュバシコウはとても愛情深い鳥。
一度つがい(夫婦)になると、
どちらかが死なない限り毎年同じ相手と子育てをします。
毎年違う相手とつがいになる鳥も多いけど、
シュバシコウは一度決めた相手を一生愛するんだね。
そういう訳で、シュバシコウ夫婦はとても仲良し❤
夫婦が協力して巣を作り、
夫婦が協力して卵を温め、
夫婦で協力して子育てをします。
もちろん子どもに対しても一生懸命で、
雨が降ればヒナが濡れないように傘の代わりになったり、
陽射しが強ければ自分の体で日陰を作ったり。
そうして巣立ちまでの間、
子どもたちは優しい両親に守られて
元気に育っていくんですね。
そんな家族に対して愛情をたっぷりそそぐシュバシコウの姿は、
いつしか幸せな家族の象徴として、
愛の結晶=赤ちゃんを呼び込む鳥と言われるようになったそうです。
シュバシコウだけでなく、
ほとんどの鳥たちも愛情たっぷりに子育てをするよ!
でも、
「幸せを運ぶトリ」でもあるシュバシコウは
特に幸せな家族に見えたのかもしれませんね。
安全第一で大切な赤ちゃんをお運びします。
何故コウノトリ(シュバシコウ)が赤ちゃんを運ぶようになったのか
そのキッカケのお話を3つご紹介しました◎
どのお話が好きでしたか?
ヨーロッパではシュバシコウさんが、
日本ではコウノトリさんが、
今日も全国の家族のもとへ赤ちゃんを運んでいる……のかも。
コウノトリのクチバシのあと
新生児の首の後ろに赤いアザがある事がありますが、
それは「コウノトリのクチバシのあと」とも言われるそう。
コウノトリが大事に大事に赤ちゃんをくわえてきた証拠なんだそうですよ。
オマケ:思ったより過酷な労働環境
ああ、そうそう。
生まれたての赤ちゃんの体重はだいたい3kg前後かと思いますが、
コウノトリの体重はだいたい5kg、
シュバシコウは一回り小さくて3kgくらいなんですよね。
つまり何が言いたいかって、
コウノトリさんは
自分と同じくらいの重さの荷物を運んでるってコト。
しかもクチバシにくわえて。
労働環境がめちゃくちゃブラック。
頑張れコウノトリさん。