私たちが普段呼んでいる鳥たちの名前は
世界共通の名前ではありません。
例えば、このトリ。

当たり前のように日本では「スズメ」と呼びますが、
英語圏では「Sparrow(スパロウ)」と呼び、
ドイツでは「Sperling(シュペルリング)」と呼び、
スペインでは「Gorrión(ゴリオン)」と呼びます。

でも、鳥たちにはもうひとつ名前があります。
世界のドコでも通じちゃうグローバルな名前が!
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世界のどこでも通じる名前「学名」
「スズメ」や「Sparrow(スパロウ)」などは、
それぞれの国がそれぞれの言葉で呼んでいる名前。

ただ、こうも呼び名がいっぱいあると何かと不便です。
国ごとに名前が違うもんだから、
「スズメ」と「Sparrow(スパロウ)」が
同じ鳥なんだか違う鳥なんだかサッパリわかりません。
そこで、そうした国ごとに違う名前とは別に
「学名(がくめい)」という世界共通の名前があります。
例えば「Passer montanus(パッセル・モンタヌス)」。
一体何の呪文?
ってカンジの難しそうな文字列ですが、
これはスズメの学名です。

ちっちゃくてカワイイ見た目に反して
ずいぶんとゴツい名前がついている…
こうした学名はほとんどの鳥類図鑑に載っているので、
図鑑を眺めた事のある人なら
一度は目にしたことがあるハズ。
学名はどこの国に行っても変わりません。
学名を知っている人同士であれば、
国籍を超えて通じちゃう合言葉というワケですね。
難しそうだけど、仕組みがわかれば面白い!

「Passer montanus(パッセル・モンタヌス)」のように
まるで呪文か暗号のようなナリをしている学名ですが、
一体どういう仕組みで書かれているのでしょうか?
学名は基本的にラテン語
学名は「ラテン語」という言語が使われています。
何でかっていうと…
- 現在使ってる人がほぼいないので、世界共通の名前として公平だから
- 誰も使っていない=変化しない=いつまでも変わらない名前として使えるから
- 造語が簡単にでき、発見された地名や人名などを表現しやすいから
- 教養と格式のある知識人の公用語だったから
などなど。
ま、色々と理由はあるみたいですが、
学名の基礎を作ったカール・フォン・リンネさんが
「学名にラテン語を使おうぜ!」って決めたから
…というのが一番簡単な答えです。

シンプルでしょ?
「属名」+「種小名」=学名

学名は、基本的には
「属名(ぞくめい)」+「種小名(しゅしょうめい)」で1セット。
スズメの学名「Passer montanus」でいえば、
「Passer(属名)」+「 montanus(種小名)」。
簡単にいえば「所属チーム」ってカンジでしょうか。
「Passer(パッセル)」は「スズメ属」という意味なので、

「Passer(スズメ属)」というチームに所属してます。
ってワケ。
コッチは「その鳥に付けられた名前」の事です。
スズメには「montanus(モンタヌス)」という名前が付けられているので

「montanus(モンタヌス)」という名前の者です。
なんて自己紹介をしているイメージ。
…え?イマイチわかりづらい?
そうだなあ…じゃあ、
属名は「苗字」、種小名は「名前」っていうのはどうでしょう。

「田中花子」さんは「田中さんちの花子さん」ですよね。
それと同じように
「パッセル(スズメ属)さんちのモンタヌス(スズメ)さん」なんです。
斜体(イタリック体)で書くのが暗黙のルール
英語など他のアルファベットの言語とゴチャゴチャにならないように、
学名は普通、斜体(イタリック体)で書かれています。
斜体(イタリック体)とは、
ナナメに傾いてる文字の事ですね。

あえて他の文字と違うカタチで書く事で、
「これは普通の名前じゃなくて、学名ですよ」
ってわかりやすくしてあるんです。
基本ルールを覚えて暗号(学名)を解読!
学名はラテン語で出来ています。
英語などと同じアルファベット(ラテン文字)を使っていますが、
英語と同じようには発音しない事も多いので、
ラテン語を読む時の簡単なルールを紹介○

これだけ押さえておけば
あの呪文のような難解な学名が
自分でも読めるようになっちゃう!かも。
ラテン語を読む時の基本ルール
ラテン語は基本的にローマ字読みをしますが、
↓のようにちょっと注意が必要な読み方をするパターンも。
「c」+母音(a,i,u,e,o) | カ行(カ、キ、ク、ケ、コ) |
「ch」+母音(a,i,u,e,o) | カ行(カ、キ、ク、ケ、コ) |
「j」+母音(a,i,u,e,o) | ヤ行(ヤ、イ、ユ、エ、ヨ) |
「ph」+母音(a,i,u,e,o) | ファ行(ファ、フィ、フ、フェ、フォ) |
「qu」+母音(a,i,u,e,o) | カ行(カ、キ、ク、ケ、コ) |
「r」 | ル |
「th」+母音(a,i,u,e,o) | タ行(タ、ティ、トゥ、テ、ト) |
「v」 | ヴ |
「x」 | クス |
「y」 | ユ(ィユ) |
「z」 | ザ行(ザ、ジ、ズ、ゼ、ゾ) |
試しに読んでみよう!例題3つ
ハシブトガラス「Corvus macrorhynchos」
コンドル「Vultur gryphus」
タンチョウ「Grus japonensis」

パターンを覚えてしまえば、
割と簡単にそれっぽく読めちゃうハズ!
もちろん、読み方には例外もたくさんあるし
コレだけでラテン語マスターとはいきませんが、
楽しく学名を読むためなら
コレくらい覚えておけばじゅーぶんでしょう(/ ・ω・ )/
奥が深~い鳥たちの名前
学名って聞いただけでおカタいイメージがあるし、
複雑な文字が並んでて見るからに難しそう…
と、拒否反応が出ていた人もいるかと思います。

何か「勉強」の香りがするもんね…
でも、こうしてじっくり見てみると
意外とカンタンな作りをしていて面白そうでしょ?
さあ、さっそく友達や家族に向かって
「スズメの学名って知ってる?パッセル・モンタヌス。」
とドヤ顔で呪文を唱えに行きましょう。
そんなカンジで、
それぞれの国がそれぞれの国の言葉で
鳥たちに名前を付けて呼んでいるワケです。